■専門家「食べ物と同じ。情報も摂取すれば影響があるという自覚が必要」

ネガティブ情報の拡散力
拡大する

 ドュームスクローリングしてしまう理由として、まず人間の習性がある。人はポジティブな情報よりも、ネガティブな情報に注意を向けやすく、記憶にも残りやすい「ネガティビティ・バイアス」の性質を持ち、新しい情報に反応して興奮したり、取り残される、周りに置いていかれるという心理を抱いたりする。加えて、テック企業の収益構造もある。

 森下氏は、メカニズムとして「新しい情報にあらがえず、闘争状態にある」として、「人間はネガティブで注意力散漫な生き物の末裔(まつえい)で、それが生存の最適解だった。周りのことを気にして、おびえた結果として生き残れたが、いまは良くない方向に働いている」と考察する。

 そして、「人間の注意を奪い合うテック企業」の存在もある。「森林や水資源と同じく、“注意資源”が採掘されている。注意を引きつけるには、ネガティブで新しい情報の方がいい」。そうした情報に触れることで、「救いのない世界」に見えてきてしまう。「テレビが登場したときにも、『テレビの映像ばかりを見ていると、世界観をかたどられる』と問題視されていた」。

■負の情報を見すぎる弊害
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