「機能性表示食品」制度開始から10年
【映像】「4週間で20キロやせるサプリ」問題となった機能性表示食品
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 モノグルコシルヘスペリジンが高めの血圧を下げる――。

【映像】「4週間で20キロやせるサプリ」問題となった機能性表示食品

 このような謳い文句で機能性表示食品を販売していたさくらフォレスト株式会社に対し、消費者庁は3月19日、1億円を超える課徴金納付命令を出した。

 商品では血圧を大きく低下させる、中性脂肪を下げるなどの効果を主張していたものの、消費者庁は裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないと、景品表示法違反の優良誤認にあたると判断。対象となる期間の売り上げは約36億円に上っている。さくらフォレストは「内容を重く受け止めて再発防止に努める」とコメントしている。

「機能性表示食品」とは?

「機能性表示食品」とは?
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 機能性表示食品とは、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度。特定保健用食品(=トクホ)とは異なり、国は審査を行わない。

 機能性表示食品をめぐって大きな問題となったのが、ちょうど1年前に発覚した小林製薬の紅麹関連製品による健康被害である。厚生労働省は、腎臓への健康被害を引き起こした物質は青カビが作るプベルル酸と確認し、製造過程で混入したとみられるとしている。

 そのほかにも、国が認めているわけではないのに「国が痩せたと認めるサプリ」と事実と異なる表記を行うなど、優良誤認で処分される事例も相次いでいる。機能性表示食品は、導入された2015年以降、その市場規模は右肩上がりで7000億円を超えている。

 一方で、紅麹問題が起きる前の調査ではあるものの、機能性表示食品の意味を正しく答えられたのはわずか16.8%。「表示されている効果や安全性について国が審査を行っている」という誤った回答が、正解を上回っている。

 制度開始からまもなく10年。「機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者が正しい情報を得て選択できる」という開始当初の目標と現実について、専門家に聞いた。

機能性表示食品の“制度上の限界”とは?
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