将棋の第83期名人戦七番勝負第1局が4月9・10の両日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で指され、藤井聡太名人(竜王、王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)が挑戦者の永瀬拓矢九段(32)に134手で勝利。シリーズ先勝を飾り、防衛3連覇に向けて好スタートを切った。藤井名人の連勝か、永瀬九段が追いつくか。注目の第2局は4月29・30日、東京都大田区の「羽田空港第1ターミナル」で予定されている。
将棋界の聖地とも呼ばれる椿山荘を舞台に指された開幕局は、名人が熱戦を制した。藤井名人の3連覇か、挑戦者・永瀬九段の初戴冠か、大きな注目の中で行われている今期の七番勝負。振り駒で永瀬九段の先手に決まると、両者得意の角換わりの戦型へと進行した。
本局は今年3月に行われた前期の棋王戦五番勝負第3局の▲藤井棋王 対 △増田康宏八段戦で千日手が成立した将棋をなぞる展開に。同じ将棋を経験した藤井名人に研究があると見られ、永瀬九段は持ち時間をたっぷり使ってその狙いを探ることとなった。
両者の驚異のバランス力により、終盤戦まで形勢は完全に互角。しかし、時間の経過とともに盤上の緊迫感は増大することとなった。張り詰めた空気の中、永瀬九段が受けに回ったところで藤井名人が強く踏み込みを決断。自玉の危険をいとわず銀の打ち込みから先手へプレッシャーをかけていった。しかし永瀬九段も簡単には譲らず、高難度の応酬の中で藤井名人が苦しそうな表情を見せる場面も。それでも先手からの猛攻を正確に対応し、藤井名人が接戦を制した。
藤井名人、永瀬九段のコメント




