「私を誰だと思っているのだ?」――このセリフに、ちょっとカチンときたシャアの心がにじんでいたのかもしれない。アニメ『機動戦士ガンダム』第32話では、ホワイトベースの動向をめぐって、シャアと旧部下ドレン(CV:永井一郎)のやり取りが描かれるが、その一瞬の“間”に、シャア・アズナブル(CV:池田秀一)という男の人間くささが垣間見える。
【映像】シャアがドレンの通信をブチ切りする瞬間(8分18秒ごろ~)
戦場は再び宇宙へと舞台を移し、シャアは戦艦ザンジバルを率いてホワイトベースの追撃に乗り出していた。この回では、かつての部下であるドレン大尉率いるキャメル艦隊に、ホワイトベースの迎撃を任せるという布陣が取られた。
ザンジバルからドレンへ送られた通信では、シャアが「お前の艦隊の位置なら、木馬の頭を押さえられる」と足止めを命じる。これに対し、ドレンは「わかりました」と快諾。さらに続けて「追いつけますか?」と確認を取るが、シャアは眉ひとつ動かすことなく「ドレン、私を誰だと思っているのだ?」と即答。
このセリフだけ聞けば堂々たる自信家のそれだが、ドレンが「申し訳ありません」と即座に謝罪し、「大佐」と言いかけたところで、シャアは無言のまま通信をブツッと切断した。
ただの業務連絡のやり取りのはずが、どこかシュールでじわじわくる。表情に動きはなくとも、あの一瞬、シャアの自尊心にひっかかるものがあったのではないか。そんなふうに勘繰りたくなる間の取り方が、このシーンの絶妙さだ。
“通信ブチ切り”に秘められた思い日本語
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