減税の「現実味」とその難しさ
ANNが行った世論調査によると、消費税減税について「賛成」が約6割に達し、現行の給付案(3~4万円)よりも支持が高い状況だ。こうした世論の後押しもあり、主要なメディアでは「消費税減税の現実味」が取り沙汰されている。しかし、政策実現には複数のハードルが存在する。
日本大学危機管理学部教授、東京科学大学特任教授の西田亮介氏は、「減税対策全般が人気だ。対して、給付の措置は、最近ばらまき感があり不人気だ。案として提示されたものの、給付措置は見送られたと報道されている。最近関心を集めているのが消費税の減税だが、個人的には難しいと考えている」と述べた。
減税の実現可能性が難しいとする根拠について、以下の2点をあげた。
「野党が幅広く主張しているというのが1点。また自民党の中にも積極財政派と財政規律重視派があり、消費税減税を強行すると自民党が割れてしまう可能性があるということと、野党のリクエストをそのまま飲み込んだように見えてしまう。選挙も近いため、(消費税減税の実現は)難しいのではないか」
「2点目は、消費税が税収に与える影響が大きい(経験的には1%あたり2~2.5兆円ぐらいの税収)ため、消費税を一時的に減税すると、かなり大きな税収減につながり、政治的にはそれを戻すことがかなり難しいと考えられている。2年の時限付き政策ということは、2年後また戻す必要があるが、その時、ものすごく抵抗感が生じるだろう」
さらに、日本は国際公約として「財政健全化」を掲げており、減税実施にはこの公約達成時期の先送りも不可避となる。
「定額減税」再登場の可能性
