将棋の藤井聡太名人(竜王、王位、王座、棋聖、棋王、王将、22)が4月29・30の両日、東京都大田区の「羽田空港第1ターミナル」で行われた第83期名人戦七番勝負第2局で挑戦者の永瀬拓矢九段(32)に141手で勝利した。終盤まで互角の形勢が保たれた濃密な一局だったが、若き王者が“名人芸”とも言える手順の妙を披露。解説者も思わず「名人、さすが」とうなる内容でファンを沸かせた。
空の玄関口・羽田空港を舞台に争われた名人戦第2局。初戦を落としている挑戦者の永瀬九段は、ここで追いつくべくとっておきの作戦「3三金型角換わり」に誘導した。藤井名人も意表を突かれたようで、「経験のない将棋で序盤は少し主張のない形になってしまった」とコメントしていた。
前局とは打って変わりスローペースの展開となった本局。時折飛行機の離着陸の音が響く対局室は、空気が張り詰めたままハイレベルで濃厚なラリーが繰り広げられた。終盤では永瀬九段がわずかに抜け出したかと思われたが、藤井名人は未知の局面でも高い対応力を発揮することとなった。
ABEMAの中継では、中村太地八段(36)が解説を担当。高難度の最終盤では、藤井名人が指した金打ちの一手をポイントに挙げた。後手陣への包囲網を狭めるものとなったが、「藤井名人、さすが。重たく見えるので指しづらいと思っていた」と対局者目線でコメント。その後の藤井名人の飛車の追撃の一手にも「読みを打ち切ってしまいそうなところ、持ち時間がほとんどない中で正確な攻めを放っていた」と唸っていた。さらに後手にとって攻防の要となっていた香車を取ったところで勝負あり。「最後の最後に好転した将棋だったのかなと思う」と語った藤井名人が141手の大熱戦を制した。
大熱戦を堪能したファンのコメント




