政治的課題としてのコメ価格問題と流通の課題
先週の世論調査によれば、備蓄米の放出が始まった3月以降もコメの価格が高くなったと答えた人が67%に上ったという。また、自民党内ではコメの価格が下がらないことに対策を求める声が上がっている。これは参院選に向けて成果を出そうとする動きだ。
「給付金や消費税減税を実行しない方針の自民党は、何をすべきか悩んでいる」と青山氏は指摘する。
「石破氏に直接取材した際には、コメやガソリン代だけは下げていきたいと話していた。これらが物価高の象徴なので、これが下がれば、減税の要求が沈静化するのではという期待を石破総理も抱いているようだ。参議院選挙までにコメの価格を下げるために、農水省を含め、自民党にも指示して圧力をかけろというのが今の段階だ」
ガソリンについては世界的な不況の影響でいくらか下がる可能性があるが、コメについては依然として不透明な状況が続いているという。
コメの流通に関する問題について青山氏は次のように述べた。
「コメの流通は、備蓄米をJAなどの集荷業者に卸して、卸売を通じて小売に届く流れだが、JAから卸売の段階で過去の在庫を先に処理しようとすることがあり、価格を下げたくないという思いが働いているため、価格が下がらない状況が続いている」
「石破政権としては、小売店に直接備蓄米を卸すことや、JAや卸売業者以外のルートに流すことを検討している。例えば、精米ができる小売店に直接流せないかみたいなところまで検討の材料になっている」
参院選までの2カ月という短い期間で、流通をなんとか変えることは可能なのか。青山氏は続けて以下のように分析した。
「非常に難しいという見方が強い。すでに30万トン流していて、これからさらに流すが、2カ月では、小売店までたどり着かないと見られている。石破さんは参院選までにコメの値段を下げると言っているが、下がるかどうかは極めて不透明だと思う」
西田氏は「供給(生産)量が十分であれば、流通の問題である可能性は高い。流通事業者や農家にとっては市場原理の問題なので、単に価格が安ければよいということはない。したがって小出しに流通量を増やしたところで、需要が多ければ事業者等も価格引き下げに向かわないだろう。事前に市場価格が上昇、高止まりしないような工夫を制度として織り込んでおくべきだった。結果として現状のようになってしまったからには、抜本的な構造転換にはかなり時間がかかるため、流通ではなく小売にワンショットで対策する(補助を出していくなど)ことなどを考えるべきではないか」と述べた。
短期的対策の難しさ…減反政策と根本的な問題
