■負担感が増える現役世代にどう理解を求める?
文筆家で情報キュレーターの佐々木俊尚氏は、「所得制限を設けても、不平等感は出る」と指摘する。「世帯年収が1000万円でも、東京と地方で生活感覚は違う。東京では年収800万で子どもを産むのが厳しくても、地方では悠々自適に暮らせる。『線引きがわからないなら、いっそ所得制限を撤廃した方がいい』という考え方は理にかなっている」。
一方で、「払う側の不公平感もわかる。団塊の世代が後期高齢者になって、医療費が増えた結果、健康保険料率が上がっている。しかし、後期高齢者を1割負担から3割負担にはしない。独身や子どものいない家庭から見れば、上からは高齢者の負担があり、自分たちにはいない子どもの負担もかぶらされ、両側から押し付けられている」とも考える。
こうした不平等感を打ち破るために、「一切負担させない方がいい。コロナ禍以降、ここ4年で税収が5〜6兆円増えている。経済成長やインフレによる税収増を、新たな財政出動に充てるサイクルにすれば、負担も増えずに賃上げにもつながる」と提案する。
■募る不平等感
