将棋の第83期名人戦七番勝負第5局が5月29・30の両日、茨城県古河市の「ホテル山水」で指され、藤井聡太名人(竜王、王位、王座、棋聖、棋王、王将、22)が永瀬拓矢九段(32)との千日手指し直し局に勝利。シリーズ成績4勝1敗で防衛を果たし、3連覇達成と保持する七冠を堅守した。
若き絶対王者が、早くも名人3連覇の偉業を達成した。古河市合併20周年事業として開催された名人戦第5局。千日手局では角換わりの出だしから後手の藤井名人が右玉を志向し、複雑な序盤戦が繰り広げられた。じっくりと互いの構想を探り合う展開となったものの、指し掛けを経て日をまたいでも局面は混沌。2日目の午前10時59分に千日手が成立した。
先後を入れ替えて藤井名人の先手で始まった指し直し局は、角換わり後手3三金型で第2局と同じ出だしに。ここでも千日手を巡る駆け引きが繰り広げられるなど、緊迫の時間が流れることとなった。局面が動き出したのは、夕食休憩明けから。後手の永瀬九段から仕掛けて戦いが始まり、藤井名人も明確に千日手を打開する方針を示すこととなった。
繊細な神経戦から主導権を握ったのは永瀬九段。秒読みが始まる頃には苦しい表情が目立つようになった藤井名人だったが、猛攻で迫り来る永瀬九段に対し逆転のチャンスを冷静に伺っていた。最終盤は大混戦となったが、藤井名人が圧巻の終盤力を発揮。逆転してからはミス無しで押し切って大激闘を制し、待望の勝利を手にした。終局時間は午後11時16分。
防衛3連覇を達成した直後の藤井名人のコメント




