JAは全国に496存在し、組合員は約1000万人。およそ16万6000人が職員として働いている。“巨大な会社”に見えるが、株式会社ではなく、利益を追求しない「協同組合」となっている。
「一般の事業者のように、1万円で買った物を1万5000円や2万円で売ることは、基本的にはできない。その逆に、1万円で仕入れた物を8000円、7000円など赤字で売ることも、基本的にはできない。農家から預かったコメを1万円で売ったら、そこから規定の手数料をもらう。それ以外に配送料や保管料などの実費は別でもらうが、農協の利益は手数料しかない。高く売る仕組みや、余分に儲ける仕組みがないのが農協だ」(髙津佐氏)
JAの主な役割は「購買」「販売」「指導」で、「共同購入」「共同販売」の事業では、原則として独占禁止法から除外されている。そこには、大企業と争うこと自体が困難な農業者たちの組合という立て付けになっている。
髙津佐氏は「優遇されているのは、独禁法の適用除外があるのも一つだが、同じ組織の中で『共催事業』の保険事業と、『信用事業』の銀行業務をやっていいという特例が、JAの特別なところだ」とも話す。
特例で守られたJAには、「JA共済連」と「農林中央金庫」が存在する。JAの金融サービスを提供する「JAバンク」の預金量は約108兆円(2024年)と潤沢で、個人預貯金の国内シェアの約10%を占め、3大メガバンクに追随するレベルだ。
またJA共済が保有する国債や株式、不動産などの総資産は58兆円と、日本の国家予算の約半分ほど。経済事業の「JA全農」は赤字傾向だが、世界有数の事業規模を持つ金融事業によって、補てんされてきた。
農協の成り立ち、農家との関係性は?
