ジャーナリストの青山和弘氏が、JAの現状を説明する。「(JA全農やJA経済連の)経済事業は幅広い。農畜産物の販売や加工もそうだが、ガソリンスタンドもやっている。ここでの儲けは薄く、結局は銀行(JA信連・農林中央金庫といった信用事業)で儲けている。専業農家のみならず、兼業農家のサラリーマンの給与も預金してもらい、運用で稼いでいる」。

 しかしながら、「信用事業の銀行や共済事業の保険を存続させるのと、農業発展のためにどうしたらいいかということは、利益が相反することがある。日本の農業の競争力を保つには、集約化しないといけない。そうしないと、コストがかかり、赤字の農家が増え、高い農作物ができるので下げないといけない。しかし銀行業をやるためには、零細農家を守らないといけない。会員数が減れば、預金が減るからだ。『預金を守るため』『日本の農業を持続可能にするため』が利益相反することがある。このような組織自体が古くなってきているのでは」と指摘する。

 JAの数は、2011年度の711から、496まで減少した。「コメも54%しか取り扱っておらず、農協に入るのも自由になり、農協を通さない人もいる。ただ、それは自分でネットや道の駅といった販路がある人たち。それができない人は、農協に頼らざるを得ない状況。減ってきているが、まだ力を持っている。こうした農協を変えていけるかが、いま問われている」。

 そこで注目されているのが、小泉農水大臣の動きだ。「小泉氏が言っているのは『農家のための組織ではないのか』。もちろん農家のためには、販路を作り、天候が悪かったときなどに助け合う組織が必要だ。それに特化してくれればいいが、金融機関として儲けを優先したり、保険事業の会員を増やしたりとすると、農家のためのようで、そうではなくなっているのではと問題視している。そこで解体や、地域の独立性を高められないかと言っている。農業と言っても、地域によって特性は違うので」と、青山氏は解説した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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