「農家が収穫して、玄米を農協に出荷する。検査を受け、農協の倉庫に入ると、1俵あたりいくらですよと概算金(仮渡金)が農家に来る。その後、全農は売り先を探して売って、その売り上げから経費や儲け(手数料)を引き、余ったら清算する。絶対に損しない商売、それが概算。おかしいと思わなければおかしくないが、おかしいと思えばおかしくなる」(染谷さん)

 概算金よりコストが上回ると赤字になる。JAのサポートがあるのに、赤字農家が減らないのはなぜか。髙津佐氏は「生産性高く農業経営できているかどうかだ。農業生産できているかを追い求めている人と、放漫経営をしている人とは、やはり全然違う。経営能力や経営管理の差だろう」と推測する。

 また、コメ高騰については「今回のことは、いずれ起こったと思う。戦後の物が足りなかった時代は、すごく上手に機能していた。時代が変わったが、組織が大きくなりすぎて、新しい方向に舵を切りづらい。JAの舵取りは非常に厳しい局面だ」とみている。

 染谷さんもまた、ジレンマを感じている。染谷さんの田んぼは借りたり譲られたりしたもので、その相手は350軒にのぼるという。「350軒の農家が米作りをやめてくれたから、うちが成り立っている。国は規模を拡大、農地の集積をどんどんやって機械化しろと言うけれど、その裏にはそれだけやめていく農家がいる。工夫していかなかったら、生き残れない」。

現在のJAはどのようにして稼いでいる?
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