■韓国は“右”と“左”で分断 最重要は北朝鮮と中国
李在明大統領(60)は、貧困家庭に生まれ育ち、中学校へ行けず13歳から工場に勤務した。大検相当の試験を受けて大学へ通い、卒業後は人権派弁護士として活動。城南市長、京畿道知事を務め、妻と息子2人の家庭を築いた。2022年大統領選では尹氏に惜敗し、現在は公職選挙法違反など5件の訴訟を抱える。
元在韓特命全権大使で外交経済評論家の武藤正敏氏は、「李氏は立身出世型で、貧しい人々に同情心がある。国政の経験はなく、外交を意識した発言をしてこなかったのだろう。自分の支持者、とくに左派系にウケる発言をしてきた人物で、どこまで本音で思っているかはわからない」と分析する。
2009年に北朝鮮から脱北し、現在はソウルで作家として活動している金柱聖(キム・ジュソン)氏は、「韓国では右と左の戦いで、“親日”や“反日”が一種のキャッチフレーズになっている。左翼は右翼を『親日』、右翼は左翼を『反日』と言う。文在寅政権でも、レクサス車に傷を付けたり、ユニクロを不買したりなどの動きはあった。ただ、もう李氏は大統領なのだから、左右の仲たがいのようなキャッチフレーズを使うべきではない」と話す。
こうした経緯から「親日・反日の問題は、今後とも重要な問題ではない」と認識しているという。「韓国国民の情緒は、日本人とは異なる。朴槿恵政権の弾劾による大統領選挙を上回る投票率だった。これは左右よりも、事件に対する国民の情緒の問題だろう」。
そして、日本よりも重要となるのが、北朝鮮との関係だ。「李氏は北朝鮮への送金疑惑で、過去に裁判があった。一連の疑惑は、大統領になってもみ消されるのではないか。また、金大中(キム・デジュン)政権での南北関係についても発言しており、なんらかのアクションを示すと思われる。ただ、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)氏は、絶対に韓国に見切りを付けている。韓国側の態度で、どの程度の効果が出るか」と語る。
■若者世代で薄れる反日・反韓感情 エンタメコンテンツのパワーが影響
