■ハンターが報じた「鹿児島県警の闇」

【写真・画像】「闇をあばいてください」本部長が隠蔽した?なぜ元幹部は逮捕されたのか、メディアへの家宅捜索は適切だったのか…鹿児島県警の疑惑 2枚目
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2023年10月に掲載された記事「鹿児島県警の闇」 

 「公共の安全」と「秩序の維持」を使命とする警察組織が、不正をうたがわれ追及されている。鹿児島県警の「闇」を指摘し、内部情報を流出させた男は2024年3月まで幹部として本部長の隣にいた。 

 政治・行政の問題に切り込んだ調査報道を軸とするニュースサイト・ハンター。4月8日 鹿児島県警は事務所の家宅捜索を行った。ニュースサイト・ハンターの中願寺純則代表は「まず押収されたのはパソコン、それから私の持っている携帯。『すぐ返さないと業務妨害で訴える』と言ったので、このふたつは次の日に返ってきた」と語る。 

 発端は、ネット上に2023年10月掲載された記事だ。ハンターは県警の機密文書を内部の人物から入手した。

 「鹿児島中央署の捜査は不当だ、おかしいと(情報提供者に)申し上げた。共感されたということだったと思う。その結果、『こういうものがあるんです』とうちが入手した」(中願寺代表)

 ハンターが追究しているのは、ある刑事告発への県警の一連の対応だ。病院職員の女性が2021年に新型コロナの宿泊療養施設で県医師会の男性職員から性的暴行を受けたと主張。女性は鹿児島中央警察署が当初、告訴を受理しようとしなかったとして強い不信感を抱いている。県警側も後に対応の不手際を認めている。

 一方で医師会側は合意の上だったと反論し、男性も女性側の関係者を名誉棄損で告訴している。2つの告訴はいずれも不起訴になっているが、内部文書によると同じ係が担当していた。

 男性の告訴は別の署が管轄なのに、「上層部の方針」で中央署が担当することになったとある。男性の父親は以前、中央署に勤務していた。

「本来なら中央署ではなく別の署でやるべき。警察一家擁護に走ったと判断した。それからずっと続けてやってきた」(中願寺代表)

 ハンターは2024年1月、さらに数十件分の捜査情報が漏えいしていると記事で明らかにした。2024年3月、県警は内部資料の流出を認めて謝罪。調査チームを組み、経緯を調べると発表した。

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