月に一度の診察に密着した。順天堂医院 耳鼻咽喉・頭頸科の井下綾子医師から、自宅で検査ができたかと聞かれ、「マジですみません。2回しか……」と答える菅。それに「こっちが『マジっすか』って感じ。前回もそう言うことがあった」と井下医師が返すと、「酔っぱらうと、スイッチを入れ忘れて、そのまま寝ちゃう。すみません、ちゃんと頑張ります……」と肩を落とした。
リモコンのスイッチを押すと、1時間後に呼吸に合わせて電気が流れる。菅の鼻から小型カメラを入れて、のどの様子を見てみると、ほとんど開いていなかった気道が、電気を流すとパカッと開いた。寝ている間にこの動きを繰り返すと、のどに空気を送りやすくなり、いびきや無呼吸が緩和されるのだという。
手術は全身麻酔で行い、術後1カ月ほどして体が慣れてきたら、初めて電気を流す。順天堂医院の場合、手術費用は約20万円(高額療養費制度の自己負担限度額は収入によって異なる)だ。菅は「痛くない。CPAP(装置で空気を送り込む治療)より全然ラクだ」と喜ぶ。
井下医師は、研修医時代に内科で働いていたが、睡眠によって人の人生を好転させられるからと、耳鼻咽喉・頭頸科へ転身した。そして「舌を制する者が、睡眠時無呼吸症候群を制する」と豪語する。
半年に一度の検査入院
