菅が半年に一度、手術後どれだけ改善したかを調べる検査入院も取材した。まずは舌の筋肉の“舌圧”を測る。次に1時間ほどかけ、酸素濃度や脳波、心電図などを測定するための大量のセンサーを装着する。

 そして21時に就寝。医師たちは徹夜で、病室の外で睡眠の質を測定する。電気刺激が舌下神経にうまく効いていれば、いびきは止まるはずだ。しかし、井下医師は「菅さんのピュアな睡眠時無呼吸じゃないような、呼吸のイベントが起きている」、検査技師の川名ふさ江氏も「重症だ。かなり手こずっている」とつぶやいた。

 井下医師によると、無呼吸の原因で最も多いのは“肥満”だが、菅のように一見やせている人(身長173cm、体重63kg、BMI指数21.05=標準体重)でも、重症化のリスクはあるという。「パッと見わからないが、口を開けるとすごく狭い。典型的なやせ型の小さいアゴの睡眠時無呼吸だ。細くて後ろに下がり気味のアゴの形だと、口の中が狭くなり、舌の収容面積が狭いので、舌根沈下しやすい」。

パンサー菅の治療経過
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