新年度が始まった4月やゴールデンウィーク明けの利用ラッシュで話題になった退職代行。
民間の退職代行業者、労働組合、弁護士が退職代行サービスの主な運営形態だが、現在は様々な企業が新規参入している。その中で弁護士に依頼する人の傾向を、GK総合法律事務所・小澤亜季子弁護士に聞いた。
「20代以下が3割、30代が3割、40代以降が4割、おおむねこのような傾向になっている。管理職の方と管理職以外の方で費用が分かれており、退職に関する交渉をお受けする場合は、管理職以外の方は6万5000円(税別)、管理職の方は10万円(税別)となっている。他に金銭請求をされたい方に関しては、10万円プラス成功報酬となっている」(GK総合法律事務所・小澤亜季子弁護士、以下同)
中高年の依頼者が多いという事実は、決して不自然ではないという。
「部下を抱えて自分の責任分野を抱えている管理職の方と、特に仕事担当業務もない新人の方と、どちらが強い引き止めにあって、どちらが仕事を辞めるときに揉めやすいか。当然管理職の方が辞めづらい」
「管理職の方が退職代行を利用するのは全く今に始まったことではなく、仕事を辞める困難さを、新人と責任のある立場の方とで比べると、答えは一目瞭然」
さらに管理職だからこそ、弁護士による退職代行サービスに依頼したくなる事情もあるとのこと。
「要職にある人のため、突然辞めると会社の業務が回らない。会社に損害を与える可能性も、新人の方と比べれば大きいため、リスクを感じて弁護士に依頼される方もいる」
そして、退職を考えている管理職・中高年の方に対して小澤弁護士は以下のように述べる。
「退職代行が注目される前から『中高年の退職代行の利用』は一定数ある。恥ずかしいことではない」
「退職代行を利用することは“無責任”ではない。お金を払って弁護士を雇い会社と向き合おうとしている“責任感”がある行動」
なぜ管理職の利用が多い?根深い“背景”とは
