■切り抜き動画で年間3000万円を稼ぐ人も

都議選で見られた偽・誤情報
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 選挙ドットコムの調べによると、6月の東京都議選をめぐる関連動画の再生数は、投稿者の種類別で「第三者」が93.5%と、政党(3.1%)、候補者(3.1%)を大幅に上回っていた。

 政治学者で大阪経済大学准教授の秦正樹氏は、「今まで陰謀論やデマは、政党や政治家の悪口が多かった。しかし最近は、『不正選挙だ』など、行政や制度に矛先が向いている。これはアメリカで起きたトランプ支持者による議会襲撃事件と構造が一緒で、『選挙そのものがおかしい』となると、次元が2段階ぐらい上がる危険な状態だ」と説明する。

 登録者数10万人以上の切り抜き動画チャンネルを運営する石川さんは、年収2000~3000万円を稼いでいる。政治を広めたいという思いで開始して、「動画を見て興味もった」「投票に行った」などの声がモチベーションになった。当初は他に政治系をやっている人がおらず、「ブルーオーシャン」として再生数が伸びる期待もあった。

 初期を振り返り、「最初はマネタイズ(収益)目的だったが、切り抜きをやる中で『自分が政治を理解していないことが、今の日本を作ってしまった』と反省して、実態を知ってもらうために続けている」と語る。政治系コンテンツは広告単価が高いといった話もあるが、「確かに高齢者層は高いが、動画の長さなどにもよるため、一概には言えない」のだそうだ。

■切り抜き動画で高収入も
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