この先の交渉どうなる?

西田亮介氏
拡大する

 では、アメリカ側はもう少しプレッシャーをかけようと思えばできたのか。

「日本政府にもっと厳しいプレッシャーをかけたいということでいえば、もっと高い数字を示したり、参院選挙の前に発動を通告すると日本国内大混乱は必至で、そういうこともできた。アメリカはアメリカでアメリカ国内に向けて当然、日本に対して厳しい姿勢を示さなければならないので、24%から25%に引き上げた。しかし、日本側からみると、これは事前に言われたよりもだいぶ低く、実質は乏しい。ということは、これまでの日本政府の一連の非公開の提案にアメリカは前向きで、もうひと押しほしいけれど、肯定的に受け取っているシグナルではないか」

 この先の交渉はどうなるのか。

「この間、日本製鉄によるUSスチールの買収で、アメリカに対して拒否権行使できるような条件を残すなど日米ウィンウィンの成果が出ている。もう1つ残っているのは自動車。日本の主力輸出製品であるのと同時に、アメリカにとっても象徴的な産業であるところで、もう一押し何かほしいのではないか」

「同時に、制約条件があることもよく理解しているはずだ。日本には、アメリカの自動車メーカーのディーラーがあまり展開しておらず、日本でアメリカの自動車を買うことが難しい状況。これはすぐには変わらないはず。何があり得るかというと、やはり非関税障壁とアメリカが呼んでいるものを変えることだろう。例えば日本の場合、自動車税は排気量によって変わってくる。アメリカの自動車は全般的に排気量が大きい。日本では排気量が大きい自動車は高級品、つまりある種の嗜好品だとみなされているので自動車税が高くなっている。これを引き下げたところで、多くの日本の自動車を購入している一般国民は、小さな排気量の自動車を買っているのであまり影響がない。しかし、ここを調整すれば、実質は乏しいものの、アメリカ向けには譲歩している姿勢を見せたりすることになるのではないか」

(『ABEMAヒルズ』より)

この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(2枚)