■障害者が活躍する「共働学舎 新得農場」

【写真・画像】「引きこもり40年」57歳で社会復帰も…仕事や人間関係など試練の連続「働かんで不安になる。働いても不安になる」 5枚目
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共働学舎 新得農場で働く山田卓耶さん(37)

 北海道十勝地方にある「共働学舎 新得農場」では、障害や引きこもり、身寄りがないなど、様々な悩みを抱えるおよそ60人が働いている。ここでは酪農業のほか、農業やチーズの加工も行っていて、それぞれが自分に適した作業を見つけ働いている。

 軽度の知的障害と発達障害がある山田卓耶さん(37)もここで働く一人だ。共働学舎について山田さんは「救いの女神だった、入った当初は。行き場所がなくて、働く場所がなかったので、『とりあえずここでやってみないか』と言われ、2週間体験してみて行けそうかなと思って」と語る。

 20人以上が住み込みで、毎日3食、温かい食事が提供される。働いた時間に応じて、月に1万円から4万円ほどの生活支援費が支給される。山田さんには、約3万円。その他、2カ月ごとに約13万円の障害年金を受け取っている。

 高校卒業後、職を転々とした山田さん。おつりの計算や時間の配分が苦手で続かなかった。自分の居場所がなくなったと感じたという。

「共働学舎に来て20年。必要とされていると思うけど、活躍しているどうかはわからない。いろいろな意味で活躍しているだろうけども。第二のふるさとであり、第二の家族になったね」(山田さん)

 代表の宮嶋望さんは、共働学舎が成功した理由について「障害を持っていたとしてもできることがたくさんある。一人の人間として、ちゃんと社会人として扱われたら、自分で自分の可能性をちゃんと表現できるようになる。ただし本人が最初からそれをわかっているか、(というと)そんなのはない。だから周りも本人も、その人の可能性を探さなきゃいけない。探して、その可能性のあるところを見つけたら、それを伸ばすような仕事というか、グループの中でちゃんと伸ばせるようにしていく仕組みを持ったらそこは生き残る」と説明した。

「自由が欲しかった」いまも癒えぬ心の傷
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