また、無名の候補者が立候補する場合に使われた手法は、候補者の写真を手に持つ党首のイラストが描かれたポスターだったという。しかし、このポスターも今につながる要素がある。当時の政友会のポスターに使われているイラストは犬養毅だが、載せるなら党首の田中義一が常識のはずだ。

「(犬養毅は)憲政の神と言われて、メディアや新聞ではすごく一般人気があった。田中義一という人はあまり人気がない。だからそういう人は起用しない」(玉井教授)

 さらに、今ではあまりみられないポスターもある。民政党のポスターで、右側には演説をする民政党、左側には芸者遊びをする政友会と、ライバル政党を悪役にするポスターだ。もちろん、対する政友会のポスターでは、民政党をおどろおどろしい鬼と貧乏神で表現している。

「今のアメリカの大統領選挙みたい。自党を高くやると同時に反対党をネガティブに加えて、それと同じノリと言ってもいいと思う」(玉井教授)

第1回普通選挙ポスターの数は3,500万枚
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