中国では「スパイ容疑」そのものが、どんな容疑であるか明らかにされていない。中国に詳しいジャーナリストの高口康太氏は、反スパイ法違反により拘束されるリスクは、「長年中国に駐在してきたビジネスマンほど高い」と指摘する。

「今回有罪判決を受けた男性も、中国経験が20年以上あり、中国における法人団体の幹部もやっていた地位のある人だ。おそらく中国側の国有企業や政府関係者の会談も重ねていて、その中で国家機密に触れる可能性もあっただろう。それを日本の政府省庁や企業に、その情報がわたっていた可能性があると中国側はにらんでいた。中国滞在暦が長く、いわゆる中国通になっている方が高リスクと言われている」(高口康太氏)

 男性は2023年3月、任期を終え、北京の空港から帰国しようとした途中で拘束。すでに2年以上拘束されていた。中国は2014年に反スパイ法を施行している。これまでに17人の日本人が拘束され、今回の男性を含む5人が今も帰国できていない。

かつて中国で拘束された男性の証言
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