かつて「スパイ活動を行った」として拘束された男性に、2023年に話を聞いていた。元日中青年交流協会理事長の鈴木英司さんは、200回を超える渡航歴がありながら、2016年に拘束され、6年間服役していた。

「ガラの悪い人たちが6人ばかりいた。私をワッと囲み、車の中に押し込んだ。黒いアイマスクをかけられ、1時間くらい車に乗った。行き着いたところが古びたホテル。カーテンを閉めきってあった。四方面にカメラがあって、そこに2人の人がいた。時計もなければ、テレビも私の座る椅子もない。丸いテーブルが1つだけ。洗面所やトイレ、シャワーがある。ところがドアがない」(鈴木英司さん)

 鈴木さんが拘束された理由は、外務省の中国外交部の高官と会食していたときに、「中朝関係の責任者が殺された」という話題をほんの一言交わしたところ、盗聴器が仕掛けられていたのだという。あくまで一言話しただけ。拘束されるなど、全く思いもしなかったそうだ。

「食事の問題、まずかったですね。もうひとつは、カーテンを開けてもらえず、表を見ることもできない。太陽を見たくて、頼んでやっとOKになった。15分間見せてもらって、それで終わり。7カ月間まったく太陽を見たことがない」(鈴木さん)

同じ「スパイ罪」でも量刑が異なる
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