日本の外務省は、中国に渡航する人たちに向けた「安全の手引き」をホームページに掲載している。それによると、GPSを用いた測量や、温泉掘削などの目的での地質調査、地理情報の収集も「国家安全に危害を及ぼす」と判断される恐れがあるという。

 さらに手引きには「観光を名目に中国の自然保護区に複数回入り込み、大量の昆虫サンプルを採取し、国外に持ち出していた」との例も。高口氏は「昆虫採取がスパイ罪になるのは、我々からするとビックリだが、結構典型的な事例だ。『生物の多様性や遺伝子といった重要な生物資源のデータをスパイが取ろうとしている』と言われる。中国における“スパイに盗まれる機密”の対象というのはもっと広い。中国では“総体的国家安全観”が、習近平国家主席によって提唱されている。これは軍事・経済に加えて、文化や環境など、さまざまなものが国家安全に関する問題であり、それに紐づくものが『機密』になる」と解説する。

 この制度の恐ろしさは、中国の徹底した「秘密主義」の前に、日本人の常識など一切通用しないことだ。鈴木さんは「スパイ法の判決は全て秘密で、なんだかわからない。“秘密”がスパイ法の原則だ。日本人的は基本的に『なぜ捕まったのか、なぜ処罰されたのかを明確にして』と言う。でも中国は違う。スパイ法は『秘密でよし』としているため、言うわけがない。中国側からすると『聞く方が無知』であると」と話した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(2枚)