■厳しい家庭環境から極道の道へ
非行に走り、イレズミを入れた西村
岐阜随一の歓楽街、柳ヶ瀬(やながせ)。時代の波に呑まれた街の少し外れに、築40年近くのマンション、「ロアビル」がある。マンション1階にある共有スペースに、元「女ヤクザ」、西村の姿があった。
街の清掃ボランティアのため、そろいの上着を着て、住人たちの先頭に立って繁華街へと繰り出す。清掃ボランティアを始めて1年が過ぎ、地元でもすっかり知られた光景となった。
「きれいにしてもらってありがとう」「助かります、街がやっぱりきれいでないと」(住民の声)
この清掃活動は参加する人たちの多くが西村と同じ元受刑者たちだ。「その辺(過去の罪)のことを思うと、すごい申し訳ないことをしたなと…。過去をいかして、人を更生させてあげるっていうことは、自分たちにしかできない。悪い人たちの気持ちが分からないから」(西村)
1966年生まれ。父親は愛知県庁の幹部職員。親戚には東京大学出身の裁判官もいるなど、彼女いわく「厳格な家庭」で育った。
「テレビの裏にいつも細い竹の棒がおいてある。帰ってきて勉強しなくて、答えが間違っていると竹の棒で叩かれた」(西村)
そんな中、人生が一転したのは、中学2年の夏。仲良くなった友達の家に遊びに行った時のことだった。
「(その家の親は)勉強しなくても怒らないし。夜遊びしても怒らない。なんかいいなって思って。そこの友達の家に通うようになって。気づいたらもう悪くて、どうせ悪くなるなら一番悪くなりたいなって」(西村)
非行は瞬く間にエスカレートし極道の道へ
