非行は瞬く間にエスカレートし、2度にわたる少年院を経て、極道の道を歩んだ。

「ケンカが強かったのと、あとイレズミですよね。ヤクザやる前から入っていたので。『女にしておくのはもったいない』という噂が流れて、『住吉』から声がかかった」(西村)

 西村は、20歳にして、関東最大の指定暴力団・住吉会系の組員となった。薬物や拳銃の売買にも携わったという。入って早々、別の組員が犯した失態の、いわゆる「落とし前」もとらされた。左手の小指はない。当時を振り返り「痛いというよりも、血の気が全部下に引いた。痛いのはその後」と語った。

 その後、傷害罪で執行猶予中に薬物の所持で逮捕され、刑務所で2年半の服役。自分が前代未聞の「女ヤクザ」であることを、出所の日に思い知らされることになる。

「仮釈(放)もらうには(組の)脱退届を書かないといけないと言われて。普通だったら1時間くらいで書けるものを半日かかって書かされた。(時間がかかったのは)日本初で例がないから。女子刑務所で始まって以来の脱退届だと言っていた」(西村)

暴力団を脱退後も苦難は続く
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