しかし、暴力団を脱退後も苦難は続いた。突然の発作に見舞われ、救急搬送される西村。数年前、知人から「(出所した)元プロボクサーの男を預かって欲しい」と頼まれ、自宅で世話をしていたが、生活態度を戒めたことで暴行を受け、一時瀕死の状態になった。
以来、重い後遺症に苦しむようになった。全てを捨て、出家して仏門に入ろうかと悩んでいた矢先、ある出会いがあった。
竹垣 悟(たけがき さとる)、73歳。かつて山口組の四代目組長の側近を務めたが、引退後は、元犯罪者らの更生支援を手助けする「五仁會(ごじんかい)」を姫路市に設立。その実績から数々の表彰を受けるまでになった。
「(西村は)まっすぐ何をするのにもまっすぐ。なんでこんな子が女ヤクザしていたかって思うようなところがある」(竹垣)
竹垣は、あるテレビ番組での共演をきっかけに、2023年、彼女を五仁會の岐阜支局長兼広報部長に任命したのだ。
「いままでの人生の転機ですよね。立場が逆になった。いまは人を更生させる立場。(竹垣)会長と出会わなかったらどうなっていたか分からない。また、刑務所に行っていたかもしれない」(西村)
「ワケあり住人」たちの更生支援
