■約810億円を投じる意味と価値は

アフリカに支援が必要なワケ
拡大する

 近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は、「これは外交上、必要な投資だ。20〜30年後にアフリカ経済が上昇したときに、『あの時から日本は継続的に援助していた』となると、国と国の繋がりが違う」と指摘する。「TICADに合わせて、政府首脳の周辺にいる財界人も来日していて、ODAと関係ない民間同士のビジネスミーティングが相当数行われている。日本が今後人口減少する中で、どうやって海外のビジネスを作るかは、極めて重要だ」。

 海外からの日本の評価については、「野口英世氏や北里柴三郎氏らが、アフリカの風土病に貢献してきたため、日本のプレゼンスはアフリカ各国で高い。それをきっかけに貿易が始まり、南アフリカではアパルトヘイト時代に“名誉白人”にカテゴライズされた。そんなことをされているアジア人はいなかった。最初は経済格差が大きいため、援助として始まるが、ビジネスが始まると関係が近くなる。実際にアフリカへ日本の政治家が行くと、大歓待を受ける」とした。

 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、「日本の会社が現地に根付き、雇用が生まれて、地域の中で必要とされて、ようやくビジネスができる。その間に『日本は信用できる』というネットワークづくりが必要で、政府がお金を突っ込まないと、その場所が他の国に取られる。『中国の方が信用できる』というアフリカの国もある。10〜20年後のマーケットを見通して、信用を積み重ねるしかない」と語る。

■アフリカに支援するメリットは
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