市民から「市議の仕事ぶりが見えない」と思われていることについて、伊藤氏は「いろいろな側面があるが、月1回市民との懇談会を行うなど、会期中でなければ実際に時間はある。政治活動と議会活動は違うが、混同して語られることがある。僕たちに支払われている報酬は、自分が当選するための政治活動ではなく、議会活動に対する報酬だと考えるべきだ。議会がないときは準備のための勉強をしていることもあるが、ネクタイを締めているのは年間約50日。時間があるかないかと言えばある」と語る。

 また伊藤氏は、「待遇面ばかり注目されると下世話な話になる。『時間はある』と言ったが、例えば1人の作家が、自分の作品を議会で発表するとして、言葉のチョイスを含めれば、四六時中考えている。そこは議会で発言する思いによる。自分で書いた本のように、時間や報酬をデータで表すと、下世話な話になる。年俸の多い少ないも、その人の前職によるため、議論は難しい」と語る。

 その一方で、「僕がこの本で『おいしい』と書いたのは、エリートが政治家になって、『前職は弁護士や医師をやっていたが、パブリックな精神で、低い給料で、皆さんのために政治をしています』という話を聞き飽きたから。もっと条件を明らかにして、『これくらいもらっている』と言えば、『僕もやってみよう』という人がいっぱい居るのではないか」と、執筆の動機を明かす。

「“おいしい”と思う市民がいれば、とにかく1回政治家になるべき」
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