藤井王座と伊藤叡王の公式戦は16局行われ、戦績は藤井王座の12勝3敗1持将棋。両者にとって初のタイトル戦となった2023年の第36期竜王戦七番勝負では、藤井王座がストレートで勝利を飾った。しかし、両者の対戦における最大のターニングポイントは、3度目のタイトル戦となった2024年の第9期叡王戦五番勝負だ。ここではフルセットの大激闘が繰り広げられ、伊藤叡王が3勝2敗で勝利し、藤井王座の八冠独占を崩す快挙を成し遂げた。タイトルホルダー同士が約1年ぶりに公式戦の舞台で相まみえる本シリーズは、まさに因縁の対決と言えるだろう。
なお、両者のこれまでの戦いでは角換わりが13局、相掛かりが3局指されている。注目の本局は、振り駒で伊藤叡王の先手番に決定。ここでも角換わりが本命視されていたが、開幕局は後手の藤井王座が「雁木」を志向した。
将棋界内外を問わず注目を集めるシンガポールでの一戦は、互いに譲れないプライドとタイトルがかかったシリーズ開幕戦となる。藤井王座が絶対王者としての強さを見せつけ王座を防衛するのか、それとも伊藤叡王が勢いそのままに藤井王座から新たなタイトルを奪取し、将棋界に新たな歴史を刻むのか。両者がどのような作戦をぶつけ合い、激闘の末にどちらが栄冠を手にするのか、そのゆくえから目が離せない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)




