日本のロボットは対抗できるか?
訪れたのは千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター。
現れたのは四足歩行のロボット。階段を後ろ向きや横向きなど軽やかに登ったり下ったりしているが、視覚情報となるセンサーが搭載されていないという。なぜ見えない状態で転ばずに歩けるのか?
千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター 古田貴之所長「我々のロボットの歩行が他と違うのは、まずそもそも“歩く”ということではない。体の動きはどうやって作られるのかという“概念”を知っている」
実は、仮想空間での歩行の成功パターンをロボットに移植。そうすることで体の動かし方を学習させ、転ばないようにバランスを取って歩いているのだという。
古田所長「生物と同じように仮想空間でミニ地球・ミニ箱庭世界を作って、アメーバがゼロから進化するように、ロボットの運動のための“小脳”をゼロから進化させる。だから我々は4096台、四脚ロボットを仮想空間にぶち込み、最初の世代は自分の形しかわからない脳みそ、それを2万世代進化させる。その過程で『手足があって四脚なのでは』と脳がわかってくる。そして体の使い方もなんとなくわかってくる。そういう学習をさせて体の使い方を司るAIを作っている」
そのため、体を持ち上げ落とそうとすると、着地するために前傾姿勢になり、実際に落としても無事着地することができる。室内ではセンサーなしで人が操作をして歩行の実験をしているのだが、屋外ではセンサーを搭載し、読み込ませたマップをもとに、障害物にぶつからないよう自動歩行をする実験も行っているという。
古田所長「フィジカルAIといってAIを使ってロボットを動かす。このフィジカルAI、小脳を進化させる技術を使うと、はるかに安いロボットで、人工知能でブーストして高度な動きができる。そしてあらゆるものに応用できる。これは全く新しい、これからのロボットを動かす技術だと言える」
ところで、四足歩行のロボットとヒューマノイドロボットに関連はあるのだろうか?
関根記者「私も先生に聞いたのだが、四足歩行の技術はヒューマノイドロボットにも完全に応用できるという。実はヒューマノイドロボットは大きく重量があり動きの予想がつかない段階で実験すると倒れてきたりして怪我をしかねないため、まず十分に四足歩行ロボットで試すのだと説明してくれた」
これだけ進化するとヒューマノイドロボットを問題視する声はないのだろうか?
関根記者「最も懸念されるのは軍事利用の可能性だ。実際、いくつかの戦場では人型ロボットではないが別のロボットが投入されているという話もある。やはり平和利用とどう兼ね合いをつけるかは難しい問題だ。また、技術の開発スピードに倫理観や法整備が追いついていないという状況もある」
進化したロボットが人間の仕事を奪う未来は近いのか?
関根記者「確かにここまで見た技術はすごい。だが実際に人がやっている仕事を代替できるかというとまだ相当時間がかかるのではないかと思う。まして、人と一緒に働く、あるいは、介護の領域で人の世話をする、家庭にロボットが一緒に暮らすとなると安全面や信頼性の問題がある」
(朝日新聞/ABEMA)

