将棋の第73期王座戦五番勝負第1局が9月4日、シンガポール・セントーサ島の「アマラ・サンクチュアリ・セントーサ」で指され、藤井聡太王座(竜王、名人、王位、棋王、王将、棋聖、23)が挑戦者の伊藤匠叡王(22)に66手で勝利した。藤井王座は防衛3連覇に向けて好発進し、シリーズ成績を1勝0敗とした。注目の第2局は9月18日に兵庫県神戸市の「ホテルオークラ神戸」で行われる。
因縁の同学年ライバル対決は、藤井王座が先勝を飾った。本シリーズは、藤井王座が保持していた八冠の一角を崩しタイトル保持者となった伊藤叡王が挑戦者に。さらに、開幕戦は海を飛び越えシンガポールが舞台とあり、大注目のもとで争われることとなった。
約1年ぶりの対戦となった開幕戦は、振り駒で伊藤叡王の先手番に決定。後手番となった藤井王座は、海外対局でも最初の一手の前の“お茶ルーティーン”は崩さなかった。本局では角道を開ける一手を選び、雁木模様の出だしとなった。先手が見せた急戦策に対し、百戦錬磨の藤井王座も堂々と対応。飛車取りを無視し、先手陣へ強く踏み込む歩成の一手からペースを握っていった。対局開始からハイペースで指し進められていたが、勝負所から一気に終盤戦へ突入。藤井王座は強気の姿勢を崩さずに伊藤叡王へと猛攻を仕掛けていった。
苦しい時間を過ごすことになった伊藤叡王だったが、巧みな勝負手を連発し局面を複雑化。しかし、持ち時間をたっぷり残していた藤井王座は攻めを引っ張りこむ狙いだったか、高難度の終盤戦では今度は強気の受けを繰り出し、冷静にリードを拡大させていった。最終盤まで大激戦が繰り広げられたものの、緩急自在の指し回しを見せた藤井王座がしっかり読み切り勝利。ハイレベルな応酬となった一局で白星をもぎ取った。
藤井王座、伊藤叡王の終局後コメント




