―麻雀は人と人がやるもの。AIの考え方から逸脱する必要もあるか。
やっぱり人間とAIは全然違います。難波ちゃん(渋川難波・協会)が「AI3人と100半荘打つ」という企画をYouTubeでやっていたんですが、負け越していました。AIが打っているわけじゃないから、視線だったり感情が出ていたり実戦的な部分は、一緒に打ってみないと分からないことが多いです。
阿久津さんは研究熱心なので、「こういう時はこうした方がいい」というセオリーには強いと思います。でも、Mリーグでは「今まで打ったことのない人」とたくさん打つことになる。特定の少人数とばかり打つわけじゃないので、AIの研究だけでは不十分で、「この人はこうだ」という読みも大事になってきます。そういうのは、見ているだけでは分からない。少しずつ身につけていって、自分のバランスを壊さないように成長してほしいです。
―個人の目標とチームの目標は。
もちろん、自分としては「できるだけ多くのプラスを持ち帰りたい」。昨年はファンの皆さんに残念な思いをさせてしまったので、今年はちゃんと「勝つところ」を見せたいです。最終的な目標は「優勝」。それが叶わなかったとしても、「レギュラーシーズンで終わる」のではなく、「ファイナルで戦っているところ」をファンの方に見せる。それがとても大事だと思っています。
それができなかったことが、は昨年一番悔やまれることでした。ファンの方を早い段階で「また来期だね」という気持ちにさせてしまったのは、本当に申し訳なかったと思っています。今年は結果にこだわって、優勝を目指したい。個人としても、チームとしても、良い成績で終えたいです。
―麻雀の打ち方における「人読み」について、自身はどう活用しているか。
特徴的な打ち方をする人には、かなり人読みを取り入れています。例えば、黒沢咲さん(TEAM雷電・連盟)が仕掛けるのと、小林剛さん(U-NEXT Pirates・麻将連合)が仕掛けるのとでは、意味が全く違う。剛さんの仕掛けは幅が広い。極端な話ですが、「この人はこれくらいの幅」というイメージを自分の中に持っています。
テンパイしているかどうかまで、なんとなく分かる人も…誰とは言いませんが(笑)。麻雀はすごく近い距離でやっているゲームなので、癖が出るのは仕方ない。どこまで信用するかは状況次第ですけど、自分の手次第では、そういう要素も少し取り入れています。
―苦手なタイプの打ち手は。
Mリーグにはあまりいませんが、自分が麻雀と相性が悪いと感じるのは、「安かろうが何だろうが、とにかくバンバン押してくる人」です。相手が“みんなのヒーロー”になって、道を切り開いていくような人が苦手です。僕は打点を作って一発で勝負するタイプなので、そういうときに先に道を切り開かれると、周囲も「じゃあ自分もついていこう」となってしまう。
普段ならもうオリてるはずの人がテンパイしてしまうということが起こるので、相性が悪いですね。Mリーガーにはいません。みんな手堅く打ちますから。
―“打ち手・堀慎吾”としての現在地は?
僕はまだ、全然大したことないです(笑)。麻雀は…やっぱり負けず嫌いなので。負けたくないから頑張ってきた。麻雀ばかりやってきて、ちょっとでも強くなろうと努力してきた。その貯金で今があると思っています。
すごく才能があるわけではないですし、それこそ将棋のような「プロになるのがすごく難しい世界」だったとしたら、自分はプロになれていなかったかもしれない。自分は才能があるとは思っていません。どちらかというと、努力でなんとかしてきたタイプ。
「これをやったらこれ以上強くなれる」ということもわかりませんが、過去の経験の中で、「こういう状態で試合に臨んだ時は成績が良かった」という感覚は自分の中にあるので、そこに本番を合わせていくだけです。
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チーム、2025-26シーズンから全10チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズン各120試合(全300試合)を戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。各チーム20試合(全30試合)を戦い、さらに上位4チームがファイナルシリーズ(16試合)に進み優勝を争う。優勝賞金は7000万円。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)



