小泉氏も前回の総裁選と趣を変えた。1年前は「『決着』新しい時代の扉をあける」と書かれたブルーのボードをバックに、身ぶり手ぶりを交えて熱弁。しかし今回9月20日の記者会見では、何も装飾されていないひな壇に立ち、演台に置かれた原稿に何度も目を落とした。

 会見で小泉氏は「自民党に足りなかったこと、それは国民の声を聞く力、国民の思いを感じとる力ではなかったかと感じている」とコメントした。

 持論だった「党議拘束をかけない選択的夫婦別姓」を封印。代わりに訴えたのは“自民党の結束”で、「国民の求める安心と安全を実現する政党に自民党を立て直す」と意気込んだ。

 かつて父親の小泉純一郎元総理は「私の改革に反対する者はすべて抵抗勢力だ」と分裂をあおったが、権力闘争の末に、結果として党内は結束した。たった1年で「改革」の看板をあっさりと取り下げ総理総裁を目指す息子を父はどうみたのだろうか。

 高市氏は“保守色”を封印し、進次郎氏は“改革志向”を封印した。決選投票が有力視される2人は、いったい何をかけて戦うのか。

高市氏が前回総裁選で落ちた理由
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