■北アルプス「穂高岳山荘」の過酷な小屋開け作業

【写真・画像】「命がけでやるしかない」過酷な小屋開け、水源確保、時には救助作業も 「奇跡の山小屋」目指して…スタッフが守る“登山者の安全” 2枚目
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標高約3000メートルに位置する「穂高岳山荘」

 北アルプス、奥穂高岳。標高3190メートルの山頂からのびる稜線上に要塞のような山小屋「穂高岳山荘」がある。登山者あこがれの山小屋だ。

 2024年4月、スタッフが小屋開け作業のため山荘に向かった。山荘に入るのは、11月のシーズンオフからおよそ5カ月ぶり。下りたのは、雪に埋もれた山荘の屋根の上だ。長野県側は凍り付いた涸沢カール。支配人の中林裕二さんによると例年に比べて雪の量が少ないという。少ないと言っても、1階は雪に埋まっているため、出入りは2階の窓から行う。

 山荘内は、小屋締めの時のままだ。いたるところに支柱が立てられ、冬の間雪の重さから建物を守っていた。除雪をして山荘を雪から救い出し、客を迎える準備をする。小屋明けの始まりだ。

 しかし、雨で溶けた雪が凍り、硬い層ができてしまい、除雪が思うように進まない。チェーンソーが頼みの綱だ。「近年多いですね、氷の層が。全然機械(除雪機)が入らないので」(中林さん)

 2011年は、雪の量は多いものの、凍ってはいなかった。自然が相手の作業、その年によって状況が違う。

スタッフの足に氷の塊が落ちてひどく腫れてしまう…
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