■ローレンス監督「家族以外の“外部からの介入”を受け入れづらい」

 ひきこもりへの対処についても日本と海外では異なるという。ローレンス監督は、「若い人がうつ状態にあり、長期化する問題は欧米でも同じようにある。ただ、アメリカもイギリスも異なる文化で一枚岩ではない。アメリカでは抗うつ剤など処方薬を使うことが多く、それはだいぶ違うアプローチだと思う」と話す。

パントー・フランチェスコ氏
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 パントー氏は、「ひきこもりは、“一次ひきこもり”と“二次ひきこもり”で区別する必要がある」と指摘。「二次ひきこもりは精神疾患や身体疾患など先立った要因があるもので、一時的ひきこもりはそういった病気などがないもの。欧米は二次ひきこもりの割合が高く、日本は文化的な要因がある印象だ。どの精神疾患でも、周囲に助けを求める援助要請行動が成り立たないと、回復しづらい。海外の教科書では、『hikikomori』だけでなく、『taijin kyofusho(対人恐怖症)』もローマ字である。『迷惑をかけてはいけない』『他人にどう見られるか』という心配が生まれるのは文化に関わりがあると思うが、どの精神疾患でも早期介入が本当に大事。長期化してしまうとより意識しづらくなる」とした。

 “介入”について、ローレンス監督は「アメリカあるいはイギリスの場合、子どもが学校に行っていない場合、“責任は地元の人たちにある”ということで、なんらかの介入をする。日本は、家族ではない外部からの介入というのは、それほど受け入れられないのではないか」との見方を示した。

■“ひきこもり=充電期間”?必要な支援は
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