国内では、ここ20年間で185人の小さな命が生後まもなく遺棄されるなどして奪われている。すべてのケースで母親は自宅のトイレなど医療機関以外の場所で出産していた。
「自宅でお産になって パニックになって、赤ちゃんを遺棄したりとか殺人になったりするので、ゆりかご、赤ちゃんポストよりも重要性というのは感じる」(蓮田院長)
乳児の遺棄を防ごうと、病院が2007年に開設した「こうのとりのゆりかご」にはこれまでに179人の幼い命が託された。半数以上は危険な自宅での出産で、車の中で出産していたケースもあった。
病院で安全に出産してもらおうと始めたのが、女性を匿名で受け入れる内密出産だ。妊娠を周囲に悟られるわけにはいかない。けれど、赤ちゃんの命は残してあげたい。内密出産は追い詰められた女性たちの受け皿となり、病院は3年間で2300万円あまりを負担しながら40人を受け入れてきた。
たった1人で出産に臨む女性に寄り添う職員
