不安を抱え、たった1人で出産に臨む女性に寄り添う職員がいる。蓮田院長の妻で新生児相談室長の真琴さんだ。
女性の身元情報は将来子どもに開示する前提で病院内に保管される。女性は真琴さんだけに、身元を明かし出産に臨む。身元は行政にも報告されることはない。このため、支援につながりにくいと指摘する声もあるが、それでも、この仕組みでなければ救えない命があると考えている。
「内密出産を選ばれる女性は、家族との関係が厳しい状況に小さい時からあった方が多いので、来られるまで未受診の方がほとんど。私たちが断ったり(つながりが)切れてしまうと、このお母さんと赤ちゃんは命の危険があるという思いで受けている」(真琴さん)
軽度の知的障害や発達障害が疑われる場合もあるという。「彼女たちは自分でSOSを出すのが苦手なので、その時に関わった大人が気付いて手を差し伸べていれば、こういうことにはならなかったんじゃないかな」(真琴さん)
虐待と性被害の果てに「内密出産」を選択した女性
