■虐待と性被害の果てに「内密出産」を選択した女性

【写真・画像】「赤ちゃんを遺棄して捕まるつもりだった」内密出産を選んだ女性たち…「私たちが断ったら命の危険がある」受け皿となる病院が直面する課題 3枚目
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美咲さん(仮名・成人)

 病院で1人の女性と出会った。西日本に住む美咲さん(仮名・成人)だ。「小学校の頃から父親からのDVだったり、暴言を受けていて。これは妊娠前の傷なんですけど、押し倒されたかなんかで……」。

 性被害を受けて妊娠したが、父親からの虐待を恐れ、家族にも相談できなかったという。もし妊娠を家族に打ち明けた場合は「殺されるだろうなっていう一択ですね」と語る。

 中絶をしたいと病院を受診したが、子どもの父親のサインとお金が必要だと言われ、諦めた。地元の妊娠相談窓口では「まずは親御さんに連絡してみて」と言われたという。「できないから相談してるのに。赤ちゃんが死ぬためにOD(薬の過剰摂取)をしたり、過度なお酒、喫煙、お腹がぽこって出てきた時に お腹を自分で殴ったり、地元の焼却場を調べたり、黒色の袋も買っていた」(美咲さん)

 親友にだけは、妊娠を打ち明けていた。臨月に入るころのやり取りを見せてくれた。「私は捕まる覚悟でいるから、遺棄する覚悟だからと言ったら、『まだ内密出産、こうのとりのゆりかごっていうのが熊本にあるんだよ』って言われて」。

 親友の勧めでようやく、慈恵病院を頼ることができた。「お腹に話しかけると、お腹を蹴ってくれたり、そういうのがすごく嬉しくなって。自分も赤ちゃんも守れるって思った」。

数日間滞在したのちに内密出産
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