将棋の藤井聡太竜王(名人、王位、棋聖、棋王、王将、23)が10月31日・11月1日に行われた第38期竜王戦七番勝負第3局で、挑戦者の佐々木勇気八段(31)に勝利。王座失冠からの流れを引きずらない圧倒的な勝ちっぷりでファンを沸かせた。ABEMAの中継には、竜王挑戦経験を持つ鈴木大介九段(51)が出演。解説の合間には、藤井竜王と王座奪取を許した同学年のライバル・伊藤匠二冠(叡王・王座、23)の棋風の違いに言及した。
世界遺産・仁和寺を舞台に争われた竜王戦第3局で勝利を飾り、史上3人目、かつ最年少での『永世竜王』獲得に“王手”をかけた藤井竜王。10月28日に行われた王座戦五番勝負で伊藤叡王に敗れた流れを引きずらない鮮やかな勝ちっぷりが大きな話題となった。
中継中には、解説を務めた鈴木九段が藤井竜王と伊藤二冠の“棋風の違い”について言及。将棋界がたどってきた歴史を振り返り、令和のトップランナーの両者を比較した。
藤井竜王は2024年に行われた叡王戦五番勝負に続き、伊藤叡王を相手にフルセットで王座のタイトルを失冠。藤井竜王が保持していた全八冠のうち2つを伊藤二冠に受け渡すことになったことに触れ、聞き手を務めた宮宗紫野女流二段が「藤井竜王と伊藤二冠は棋風、読み筋が合わない?」と質問した。
鈴木九段は、「昔から将棋の世界では10年ごとに棋風が変わる。受けの名人の大山(康晴)先生が出ると、中原(誠)先生のように厚みで負かす将棋が出てくる。受けが重視されて手厚い昭和の将棋が流行った時に、谷川(浩司)先生が出てくる。谷川先生の“光速の寄せ”で『序盤なんてどうやってもいいんだ、早く終盤になってしまえ、俺が勝つんだ』と言っている時に羽生世代が出て、『いやいや、序盤の組み立てが大事なんですよ、同じような手でもそこで差が付くんですよ』と。一世代前、一世代前の将棋に強い方が出るんです。だいたい10年ごとに、“10年前の棋士に勝てる”というのが、棋士は稼げるんです」と解説した。
「どうやったら藤井さんに追いつけるか、勝てるかということを考えてやってこられたから、当然棋風は藤井さんの真逆になりやすいんです」




