黙秘について、検察官側、弁護士側、裁判官側、それぞれの立場から話を聞いた。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、元検察官として「経験上、(最初は)自白をしていて、途中で供述を黙秘することはままある」と語る。

 弁護士側については、東横こすぎ法律事務所の北川貴啓弁護士が説明する。「そもそも裁判の仕組みとして、『容疑者が犯行を犯した。そして有罪である』と立証するのは検察の役目だ。(黙秘することで)不用意な供述を避けようとしているのは一つある」。

 では、裁判官側はどうか。元大阪地裁・札幌地裁の裁判官の内田健太弁護士は「被疑者が黙る権利を保障することに大きな意味がある。刑事訴訟法の大原則に『起訴状1本主義』がある。裁判官が予断や偏見を招くような資料をつけてはいけないのが大原則だ」と話した。

犯行に使用した凶器は見つかっていない
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