現場周辺を歩くと、空き家と思われる家屋も多く見られたほか、車も入れないほどの狭い路地に家が密集しているのも特徴だった。今回の火災では、消防車が入れず消火活動に苦戦したという声も聞いた。

 大分市内でも佐賀関は空き家が多いとされ、空き家の活用をサポートするNPO法人「空き家サポートおおいた」によれば、空き家相談の3割程度が佐賀関からだという。松尾修二事務局長は「私どもの感覚だと、約2〜3割が佐賀関エリアの相談。以前は活気のあった場所だが、だんだん外に出る人が増えてきた」と説明する。

「佐賀関エリアの特徴として細い路地が多く(空き家が)密集している。解体をいざしようとした時に、大きな重機が入らない。『見積もりをして』と言われるが、実際に出してみると2〜3倍くらいになることがある。そうなると今度は躊躇(ちゅうちょ)される。それが大きく、そのままになっていることも1つの要因だと思う」(松尾事務局長)

 松尾事務局長によると、所有者がわからない家も多く、簡単には取り壊せない実情もあるという。しかし、火災の規模に比べて、人的被害はあったものの最小限に抑えられた理由もあった。

“田舎ならでは”の「声かけ避難」
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