とはいえ、遠洋マグロ漁は過酷だ。1回の航海は約10カ月で、大西洋のアイルランド、南アフリカのケープタウンなどのマグロ漁場に約50日かけて向かう。長さ150kmもの縄に餌をくくりつける延縄(はえなわ)と呼ばれる漁法で行われ、漁がある日は15時間以上連続でマグロを釣り続ける。
時には荒波に襲われ、漁場を約1カ月移動していく。過酷な現場である一方、給料は最低500万円が保証され、昇給やとれ高によるボーナスもある。20代でも1000万円を稼ぐ人もいるという。
「実際は若手が今どんどん集まってきている。絶対にやりがいはあり、陸で働くよりも高収入を目指せる。ぜひチャレンジしてほしい」と呼びかける佐藤所長は、過酷だけではないマグロ漁船のリアルを知ってもらいたいと、YouTubeやSNSで積極的に発信している。
マグロ漁船員の日常を撮影した動画は、約24万回再生を記録している。人気の理由は意外な生活ぶりだ。動画では部屋の中を見せつつ、ベッドが悪くて腰が痛くなったので、新しいマットレスを購入したと紹介。家族写真のあるスペースは「唯一の癒やし空間」だという。
宿直の部屋は2人ずつの個室になっていて、布団クリーナーや除湿機などの最新家電も持ち込み自由だ。洗濯コーナーでは、水が貴重のため海水で洗っている。ちなみに、お風呂も海水だ。海の上だがWi-Fi環境も完備されている。
4年目の新人漁師が語る“やりがい”
