■99歳、再び舞台へ

本番前日の稽古で何も喋ることができない岡田さん
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本番前日の稽古で何も喋ることができない岡田さん

 それから半年、台本が届いた。2年ぶりの舞台に向けて稽古が始まった。出演するのは1年前、岡田さんが降板した「恋はみずいろ」。この作品には演劇の経験がなかった人たちが多く出演している。

 菅原さんは、役者それぞれの個性にあったセリフや特徴を考え、台本を作る。岡田さんが今回、演じるのは“父親”。娘の夢に反対し仲たがいしたことを後悔し続けている役だ。

「この一年で環境が変わったり、身体面でできないことって増えてきているんですよね。演劇をとてもしづらい状況にはなっているんですけども、でも岡田さんの演劇に懸ける思いっていうのはどんどん高まってきている」(菅原さん)

 岡田さんは舞台への思いについて「この役だったら、自分しかないという、誰にもできない魅力を発揮すること。舞台というものがあるから生きる」と話した。

 本番前日、岡田さんは最後の稽古にやってきた。岡田さんの登場は、劇のラストシーン。ライトが当たったら娘のまぼろしとけんかする父親を1人で演じる。しかし、流れをなかなか覚えておくことができない。菅原さんは岡田さんの出演シーンを車椅子からベッドに変えた。稽古では、何も喋らない岡田さんがいた。たまらず、菅原さんが合図を出す。

不安の中、迎えた本番
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