青山氏が解説する。「日本は憲法9条の制約があり、レーダー照射を受けても打ち返さないことになっているが、アメリカの空軍機なら打ち返していたのではないかと言われている。相手が拳銃を構えているため、一種の正当防衛に含まれる。撃たれたら終わりのため、反撃する権利もあるとされる。こういう警告音が鳴り続けると、病む人もいるという。それだけの緊張感の中で今回、航空自衛隊はスクランブル発進した30分間、領空侵犯しないように警戒・監視して、任務を遂行した」。

 内容の詳細については「機密情報のため、いつ発表するかは防衛省内でも意見が分かれたが、小泉氏は7〜8時間ですぐ公表した。これは小泉氏らしい行動で、国民にすぐ知らせて、危機意識を共有してもらおうとした。防衛省内には慎重論もあったが、今回は極めて早く発言した。その時、オーストラリアの国防相も来日していたので、懸念を共有した」と解説する。

 今回の件は、尖閣諸島で起きた漁船衝突とはレベルが違うとの声もある。「2010年に海上保安庁の船に漁船が衝突してきた。船長を逮捕したが、その後レアアースが輸出禁止になり、なにより緊張が高まったのは、日本人のビジネスマン4人が(中国で)拘束されたこと。当時の菅直人総理と仙谷由人官房長官が『日中関係をこれ以上悪くできない』と船長を釈放し、超法規的に国外退去処分にした。これにより4人は解放され、パンダも来た」。

 しかし今回は「軍の衝突の可能性があるところまで来ている」という。「2010年に空母は1隻もなかった。いま中国は空母を3隻持ち、沖縄の東海岸まで来て、このような行動を取っている。軍事力が当時と違う。中国の防衛費は一気に上がり、日本(2025年度は8兆4748億円)の4〜5倍になっている。いまの日中関係の緊張は、尖閣諸島で漁船が衝突した時とは危険度が違う。空母があるということは、中国の空軍基地が沖縄の近くまで来て、日本に直接脅威を与えられる状況だ」。

レーダー照射問題における打開策は?
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