■保育中の事故で寝たきりになった男の子
母・緋沙子さん(左)、父・翔さん(中)、凰ちゃん(右)
2023年3月、誕生日ケーキに目を輝かせていた男の子、凰ちゃんは今、家族の介護がなければ生きられない。
母・緋沙子さんは「羽藤家の王様だよっていう意味を込めて、あとは羽ばたいていけるようにという意味で(凰と)名付けた」と話す。2022年3月8日、3人兄弟の末っ子として生まれた凰ちゃんは、甘えん坊の男の子だった。
2023年に岩手県北上市の認定こども園に入園した。しかし、2023年6月1日、緋沙子さんの元に一本の電話が。「保育園の事務さんから電話がかかってきて、『凰ちゃん引っかかって今から救急車が来ます』っていうのを聞いて、意識はあるんだなと思って、『わかりました』と言ってパパと合流して中部病院に行ったらそこで息してないって言われて……」(緋沙子さん)
食べ物を誤嚥し、窒息。その時間が長く、脳に大きな損傷を受け、今はほとんど機能していない。緋沙子さんは「2センチに輪切りしたバナナをさらに4等分して、すごく小さいのを食べていたみたい」と振り返る。通常、飲み込んだ食べ物は食道を通って消化器官へと向かうが、なんらかの理由で気管に入ることを「誤嚥」という。1歳前後の子どもの気管の太さは3ミリから4ミリほどしかなく、空気の通り道がふさがれると窒息につながってしまう。
目や耳は機能しているが、歩くことや話すことはもうできない。父・翔さんがは「笑ってくれるといいな」と話すと、緋沙子さんも凰ちゃんの顔を見つめる。「そうだね。笑ってほしいね」と話す。緋沙子さんは、。凰ちゃんの顔を見て「一日何回かわいいって言っているかね。数えたことないけれど。かわいいんだもん。仕方がないよ。凰ちゃんは生きてるだけで偉いんだもんね。かわいい、かわいい」と愛情を語る。
「一個人の問題」と判断され情報非開示
