■正々堂々、どこまで世界で戦える?

世界で勝つために必要なこと
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 サッカー元北朝鮮代表の鄭大世氏は、日本サッカー界が抱える「クリーン」な現状に疑問を投げかける。自身がワールドカップのアジア最終予選で感じたことを振り返った。また、海外の選手たちが「そこまでやるか」というほど徹底して勝利に執着する現実についても触れている。「勝っている状況では時間稼ぎをしなければいけないが、(海外の選手は)やりすぎだろというくらいやる。すぐに痛がってプレーが終わる度に倒れるし、ゴールキーパーに接触でもしたら、試合が3分、4分止まる」。

 勝利に向けた執着心が見えるエピソードだが、こうした行為は、日本で美徳とされる「正々堂々」とは対極にある。しかし、鄭氏は「正攻法で勝てるのが一番かっこいい」と認めつつも、世界で勝っている国々は「相手を潰すだとか、絶対にエースに仕事をさせない」と、なりふり構わぬ闘争本能を剥き出しにしていると分析する。 

 鄭氏がドイツのブンデスリーガから、日本のJリーグに戻ってきた時に感じたことがある。「Jリーグに帰ってきて、すごく違和感を覚えたことがある。ブンデスのプレーヤーのセンターバックはシーズンに(イエローカードを)7枚、8枚と平気でもらう。でもJリーグで、センターバックの選手がフェアプレー賞をもらってすごく喜んでる姿に、すごく違和感があった」。

 鄭氏によれば、センターバックの本分は「前線のミスを責任取らなきゃいけない立場」であり、カウンターを食らった際に体を張ってイエローカードをもらってでも得点機会を阻止することが、戦略上の責務であるという。「(ファウルせず)自分の身体能力で勝負することで(相手と体が)入れ替わって失点をしてることも間違いなくある」と指摘し、ルールの範囲内で戦略的にファウルを選択するメンタリティの重要性を説いた。 

■ウルフアロン氏「ルールを最大限に使って勝つのがスポーツ」
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