それでも土田氏は、1日も早く日本でもDNA捜査を取り入れ、事件を解決しなければならないと主張する。「なぜDNA情報が活用されていないか。それは加害者の人権だ。なぜ(加害者の)人権を守る制度設計になっているのか、大きな疑問を感じる」。
名古屋事件の被害者の夫、高羽悟さんは、容疑者の逮捕後も、事件現場の部屋を借り続けるという。「あの現場(アパート)は戦うシンボル。早く遺伝子情報を使って、もっと正確な似顔絵を作ってほしい」。
DNAの似顔絵を強く求める理由は、未解決事件の遺族の多くが高齢者のためだ。「生きている間に事件を解決するのが、警察に課せられた使命」土田氏はそう話す。世田谷一家殺人事件の遺族、節子さん(宮沢みきおさんの母)は今年94歳になった。
土田氏によると、「似顔絵が公開されると、『似ている』という情報が警察に入る。警察はそこから基本的な捜査を始める。似ている人物は被害者と接点があるのか。事件当時どこに住んでいたのか、といった基本的な捜査で詰めていき、容疑性を高めて逮捕に至る流れだ。似ているからと言って、すぐに犯人と決めつけて動くわけではなく、あくまで捜査の入口を示す」という。
「被害者の人権はゼロに等しい」
