なぜ日本では、アメリカのように犯罪捜査にDNAが使われないのか。元埼玉県警科捜研 の乱用薬物科長で、法科学研究センター所長の雨宮正欣氏は、「鑑定技術の問題ではなくて、むしろ法律的な、あとは各人の感覚的な問題。こういう問題をクリアできるかどうかだ」と話す。冤罪や人権への懸念から慎重な意見がある。藤田氏もまた「一般論として、人の遺伝子を触るのは人権に触れるということ」と述べる。

 遺伝子情報は、究極の個人情報と言われ、プライバシーや人権を守るため、採取や開示には、本人の同意が必要となる。しかし特定すらされていない犯人の同意を得ることは、事実上不可能だ。また、再現された写真が事件と無関係の人に似ていた場合、冤罪の恐れもある。こうした人権侵害に加担したと非難されるのを恐れ、捜査協力に消極的な研究者も多いという。

 さらに2025年9月には、佐賀県警でDNA型鑑定をしていないのに、したかのように見せかける不正が発覚した。これがDNA捜査に対する警察当局の動きを、にぶくしているという指摘もある。

「なぜ加害者の人権を守る制度設計になっているのか」
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