Aさんを追い詰めたパビリオン工事の現場では、一体何があったのか。マルタパビリオンが着工したのは開幕まで5ヵ月を切った2024年12月。海外パビリオンの中では最も遅いスタートだった。Aさんに声がかかったのは着工のわずか1ヵ月前。
「『支払いもちゃんとするんで』と条件を出されて、短い工期、本当に大丈夫かなという不安はあったが、うちもずっと真面目に工事だけをやってきた会社なので、自分たちで何か力になれるのであれば『引き受けます』と決断した」
海外パビリオンの建設は、参加国が元請け業者に工事を発注して、一次、二次と続く下請け業者が実際の工事を担った。Aさんに指示を出すのは、マルタ共和国から工事を請け負ったフランスのイベント会社「GL events」の日本法人だ。
工事を進めていく中で、Aさんは不安を抱くようになった。「誰も指示をしてくれない。図面が出てこない。確認しても返事がこない。先に進みたくても、何日も足止めくらう」。
度重なる図面変更に加え、契約にない追加工事も複数回発生したという。Aさんはその際、現場で手書きの契約書を作り、費用の支払いを担当者に念押しした。「契約のうちのサインとGLのサイン。ここまでさせている。これ以上どうしたらよかったのか。できる最大限のことをして払ってもらえなかった」。
Aさんは6月、GL社に未払い代金の支払いを求め、裁判を起こした。一方、GL社側は、Aさんの会社が契約通りに工事を完成させなかったと主張。別の業者に工事を依頼した分の費用を自分たちが肩代わりしたため、支払う必要がないと反論している。
他の建設業者も相次ぎ提訴、GL社は「工事分の費用は支払った」と主張
